ネイビーのパンツに白いソックスと黒のシューズを合わせ、椅子に腰かけた男性の足元

スーツにスニーカー。本当にそれが一番ラクなのでしょうか?

ネイビーのパンツに白いソックスと黒のシューズを合わせ、椅子に腰かけた男性の足元

先日、あるスーツ屋さんが書いた記事を読みました。スーツにスニーカーを合わせることについて、服をつくり、売る立場から率直に綴られた文章で、靴をつくる側の私たちも、あらためて考えさせられるものでした。

ここ数年で、仕事の場でもスニーカーを履く人はずいぶん増えました。服装のルールがゆるやかになり、スーツやジャケットにスニーカーを合わせる姿も、今ではすっかり見慣れたものになっています。

靴を自由に選べるようになったのは、とても良いことだと思います。その日の予定や気分に合わせて、履く靴を決められる。そのこと自体に異論はありません。

ただ、ひとつ気になることがあります。スニーカーは「履くのがラク」な靴ですが、「服装をまとめるのがラク」な靴かというと、必ずしもそうとは限らないのではないか、ということです。

16年間、靴づくりに携わってきた革靴屋として、その理由を少し考えてみたいと思います。

スーツとスニーカーは、意外と難しい組み合わせ

ネイビーのスーツに黒の革靴を合わせて立つ男性の足元

スーツにスニーカーを合わせたスタイルは、うまく決まるととても素敵です。けれど、実際にバランスよくまとめようとすると、思っている以上に工夫が要ります。

たとえば、パンツの裾幅や丈。裾が広すぎたり長すぎたりすると、足元に生地がたまって重たく見えてしまいます。スニーカーのボリュームや色、ソールの厚みによっても、全体の印象は大きく変わります。スーツの生地の質感と、スニーカーの素材感がなじむかどうかも気になるところです。

それもそのはずで、スーツはもともと、革靴と合わせることを前提に形づくられてきた服です。シルエットや丈のバランス、生地の雰囲気まで、長い時間をかけて革靴とともに整えられてきました。

だからこそ、革靴を合わせると、特別なことを考えなくても自然にまとまる場面が多いのだと思います。

もちろん、スニーカーで上手に着こなしている方もたくさんいます。それはそれで、ひとつのスタイルです。ただ、「毎朝ラクにまとめたい」と考えるなら、革靴という選択肢も悪くない。私たちはそう感じています。

革靴は、毎日の服装をシンプルにしてくれる

ネイビーのスラックスの裾と、黒のストレートチップの革靴

朝、出かける前の服選び。今日はどの靴にしようかと、玄関で少し迷った経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

黒やダークブラウンのシンプルな革靴は、その迷いを減らしてくれます。スーツはもちろん、ジャケットにスラックス、ニットにきれいめのパンツといった少しくだけた装いにも、無理なく合わせることができます。

革靴は、足元で強く主張するものではありません。けれど、全体をほどよく引き締め、服装に落ち着きを与えてくれます。コーディネートを考えるときに、靴のことをあまり気にしなくていい。それだけで、朝の支度は少しラクになります。

あれこれ揃えなくても、よく合う一足が玄関にあるだけで心強いものです。革靴は、そんな頼りになる存在だと思っています。

革靴は、我慢して履くものではない

椅子に座り、靴べらを使って黒の革靴を履く男性

「革靴は硬い」「長く歩くと疲れる」「窮屈で早く脱ぎたくなる」。革靴に、そんなイメージを持っている方も少なくないと思います。

正直に言えば、足に合っていない革靴は疲れます。これは革靴に限らず、どんな靴でも同じです。サイズが合っていなかったり、足の形と靴の形が違っていたりすれば、どこかに負担がかかってしまいます。

革靴の履き心地は、サイズはもちろん、木型(靴の形のもとになる型)や、ソールなどのつくりによって大きく変わります。同じ「革靴」でも、一足ごとに感じ方はまったく違うものです。

スニーカーとまったく同じ履き心地になる、とは私たちも言いません。それぞれに得意なことがあります。ただ、自分の足に合った一足を選べば、革靴は決して我慢しながら履くものではありません。

もし革靴に苦手意識があるなら、一度、足のサイズや形をきちんと確かめてから選んでみてください。印象が少し変わるかもしれません。

革靴を履く理由は、きちんと見せるためだけではない

黒のパンツに黒の革靴を合わせ、レザーのトートバッグを持つ男性の足元

革靴というと、冠婚葬祭や大切な商談など、フォーマルな場面のための靴だと考える方も多いと思います。もちろんそうした場面で頼りになるのは確かですが、革靴の役割はそれだけではありません。

普段の服装に革靴を合わせるだけで、全体の印象がすっと整います。シンプルなシャツとパンツでも、足元が革靴なら、どこか落ち着いた雰囲気になります。休日の外出や、ちょっとした食事の席にもちょうどいい靴です。

そしてもうひとつ、革靴には「長く付き合える」という良さがあります。手入れをしながら履き続けることで、革は少しずつ足になじみ、色や艶も変わっていきます。その変化を楽しめるのは、革という素材ならではのことです。

スニーカーと革靴、どちらが正しいということはありません。たくさん歩く日はスニーカー、人と会う日は革靴というように、用途に応じて使い分ければいい。その選択肢のひとつとして、革靴を思い出してもらえたら嬉しいです。

革靴屋として、伝えたいこと

シューキーパーを入れた黒の革靴を手に持つ様子と、奥に並ぶブラウンの革靴やお手入れ用品

私たちは、16年間靴づくりに携わってきました。その中で、たくさんの方の足と、たくさんの革靴に向き合ってきました。

その経験から思うのは、特別な日のためにしまっておく靴よりも、毎日の暮らしの中で自然に手に取れる靴を届けたい、ということです。

目立つ装飾や強い主張はなくても、スーツにも普段着にもなじみ、気づけばいつもその一足を選んでいる。私たちが目指しているのは、そんな革靴です。

毎朝、迷わずに履ける靴があること。それは小さなことのようで、日々の暮らしを確かに支えてくれるものだと思います。

革靴と、これからも長く付き合うために。

クロスで黒の革靴を磨く手元と、ブラシやクリームなどのお手入れ道具

革靴と長く付き合うためには、日々のちょっとしたお手入れも大切です。といっても、難しいことをする必要はありません。

基本は、履いたあとに軽くブラッシングをして、ほこりや汚れを落とすこと。そして、同じ靴を毎日続けて履かず、ときどき休ませてあげることです。靴の中にこもった湿気が抜けるだけでも、傷みを防ぎやすくなります。

革が乾いてきたと感じたら、靴用のクリームで保湿をする。シューキーパーを入れておけば、履きじわを伸ばし、形を保つ助けにもなります。どれも、気がついたときに少しずつで十分です。

革靴は、履きつぶして買い替える消耗品ではなく、手をかけながら育てていける道具です。手入れの時間そのものを楽しめるようになると、靴への愛着も自然と深まっていきます。

スーツにスニーカーも、いい選択です。そのうえで、ときどき革靴を手に取ってみる。そんな日があってもいいのではないでしょうか。玄関で待っている一足が、毎日の装いを少しだけ整えてくれるはずです。

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私たちkuonnでは、16年間の靴づくりの経験をもとに、日常になじむシンプルなメンズ革靴をつくっています。スーツにも普段の服装にも合わせやすい一足を、という思いを込めました。気になった方は、よろしければ一度ご覧ください。

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